診療・治療ご案内
むし歯ストップの治療
むし歯ストップは食後3分以内の歯みがきから
当院では「むし歯ストップ」に、その人に合った正しい歯みがき指導に力を入れています。
「むし歯予防は食後の歯みがきから」というのは、よく言われていることです。
しかし、食後と言っても、食後3分以内に歯みがきしなければ、むし歯になるリスクは減らせません。 また、歯みがきにかける時間が1分未満の人も、むし歯のリスクは減らせません。
むし歯は、口の中の”むし歯菌”(主に「ストレプトコッカス・ミュータンス菌」という細菌)の活動によって起こされます。この”むし歯菌”が、食べカスの中の糖分(特に砂糖)やでん粉をエネルギー源にして酸を作り出し、その酸が歯の表面を溶かし、穴を開けてむし歯となるのです。
口の中は、ふだんは唾液の働きでほぼ中性に保たれていますが、食事やおやつ(甘い飲物も含む)を摂ると、食後3~20分でむし歯菌が活動を始め、酸性に傾いていきます。
ですから、むし歯菌が活動を始める前、つまり「食後3分以内」にていねいに歯みがきし、むし歯菌のエサになる食べカス・糖分を口の中に残さないようにすることが、むし歯予防ではたいせつなことです。
ただし、食後の歯磨きは、ゴシゴシ強くブラッシングしてはいけません。
食後の歯は、酸によってふだんより弱くなっているため、あまりゴシゴシ磨くと、表面のエナメル質に傷や穴ができ、知覚過敏を引き起こすことがあるためです。
また、歯の形や質、歯並びなどはお一人お一人で異なります。このため、その人に合った正しい歯みがきをしなければ、むし菌のエサを残し「歯みがきしているのにむし歯に・・」ということにもなってしまいます。
いずみ中央歯科医院では、あなたの歯やお口の中の状態に合った、あなたのための歯みがきのしかたを診断し、ブラッシング指導しています。保険適用の診療ですから、安心してお受けください。
当院のむし歯治療
むし歯は、その進行度と症状によって、C0~C4の5段階に分けられます。当院では、どの段階かを正確に診断し、適切な治療を行います。
C0の段階
歯のエナメル質に透明感がなくなっている状態ですが、自覚的な症状は出ず、まだ歯に穴の開いていない段階です。適正な歯みがきを続けながら、定期的に受診すれば必ず治ります。当院では次の治療をします。
シーラント
- 歯の形質・歯並びなどに合った正しいブラッシング指導をし、それを実行していただきます。
- フッ素を塗布します。フッ素の膜がむし歯の進行を防ぎます。
- シーラントをします。シーラントとは、奥歯の噛み合わせ部分の溝にプラスチック樹脂を被せ、むし 歯になるのを防ぐ治療です。奥歯は歯ブラシが届きにくくむし歯になりやすいため、C0の段階でのシーラントは、まだ奥歯がむし歯になり始めていなくても、予防の効果があります。
- 定期的に検診し、その間、フッ素の塗布と歯みがき状態をチェックします。
C1の段階
歯の表面のエナメル質が溶け、浅い穴が開いた段階です。痛い、滲みるといった刺激的な症状は、この段階では、まだ出ないのが一般的です。
当院では、次のような治療をします。
- むし歯が進んでいる部分を削り取ります。痛みを感じることはないので、麻酔は使いません。
- むし歯を取り除いた箇所に、コンポジットレジンを埋め込みます。コンポジットレジンとは歯科用のプラスチック樹脂製の「詰め物」です。色は白ですから充填しても目立ちません。
C2の段階
メタルインレー
この段階には、むし歯が象牙質(エナメル質の下層)にまで進んでいます。甘いものや冷たいものが滲み、また、痛みを感じる人もいます。
当院では、次の流れで治療します。
- むし歯になっている箇所を削って、完全に取り除きます。
このとき削り取るのは歯の象牙質なので、どうしても痛みが伴います。そのため麻酔を使うこともあります。
麻酔の要・不要は医師が判断しますが、「痛くても麻酔はイヤ」という方、逆に「痛いのは絶対イヤだから、麻酔を使って」という方は、それぞれのご希望を、あらかじめ申し出てください。 - むし歯を取り除いたところにメタルインレー(銀色の金属の詰め物)をします。むし歯が広範囲だった場合は被せ物(いわゆる「銀歯」)をします。
- 以後、経過をみて、不具合や痛みがあれば、その旨ご相談ください。
C3の段階
歯に穴を開け、歯髄を抜き取ります
虫歯治療例
歯の象牙質まで破壊されるところまで進行した段階です。
むし歯菌が歯根(歯の根っこのところ)の歯髄(歯の神経や血管が入っているところ)まで侵入し、歯の中が感染しています。多くは激しい痛みや炎症による腫れ・発熱などの症状が出ます。痛み止めを服用しても、効かないことが多くあります。
この段階では、痛みや発熱を抑え、これ以上の細菌の侵入や歯根の外への感染を防ぐ処置をした後、むし歯になった歯に金属のクラウン(被せ物)をする「根管治療」を行います。
治療の流れは、概ね以下の通りですが、治療期間は短くても数週間、むし歯の状態や歯の形などによっては1~2カ月かかることもあります。
- むし歯になった部分を完全に削り取って、歯に穴を開けます。
- 開けた穴を使って、専用器具で歯髄を抜き取ります。(いわゆる「神経を抜く」処置です。)
- 歯髄を抜き取ってできた空洞をきれいにして細菌を取り除き、歯根まで消毒薬を入れて外への感染を防ぎ、蓋をします。以上の処置までで、この日はご帰宅いただきます。
- 十分に消毒できた頃に再来院いただき、歯髄を取った跡の空洞を歯根まで薬を詰めて塞ぎます。
- 歯に合わせて作ったフルメタルクラウン(金属の被せ物)やむし歯で欠けた部分の土台をはめて、接着剤で固定して歯を修復します。
- 以後経過をみて、被せ物の調子が悪い場合は調整を繰り返します。
※以前に歯髄除去され、クラウンが入っている歯がむし歯になった場合には、その被せ物を外して、入っている古い薬を取り除いて処置した後、新たなクラウンを作って被せます。
C4の段階
この段階では、むし歯になった歯はほとんど失われ、歯根まで虫歯菌に侵されています。
歯を残す治療は不可能で、残念ですが、抜歯する以外に方法はありません。抜歯後の治療も傷痕がなくなるまでできませんので、治療期間も長くなります。
●麻酔薬の使用について
C2、C3での治療では痛みをともなうことがあるため、麻酔薬を用いることがあります。
当院で用いる麻酔薬は2%のリドカイン、またはメピパカインです。
リドカインは効果も信頼性も高い麻酔薬ですが、血管収縮薬(エピネフリン)が添加されているため、高血圧症や心臓疾患のある方、お子様にはメピパカインを用います。
メピパカインは麻酔効果がリドカインの約半分ですが、エピネフリンを含んでいません。そのため、短時間で済む処置での麻酔薬はメピパカインを用いるようにしています。
「カイスの輪」を小さくして、むし歯をストップしましょう
「カイスの輪」というものをご存知でしょうか? カイスという研究者が、むし歯ができる要因は、右図のように3つの条件が重なったときであると、発表したものです。
カイスの輪
3つの条件をもう少しわかりやすく説明すると、
- 歯
その人の歯の強度、形質、歯並び、年齢、唾液の分泌量などの要因 - 細菌
口の中の細菌の量・種類のバランス、むし歯菌の活動量などの要因 - 食べ物
むし歯菌のエネルギー源となる糖分(特に砂糖)やでん粉の多い食
物の摂取量・摂取回数
ということで、それぞれの要因が大きければ大きいほど、3つが重なり合うところも大きくなる、つまり、むし歯になる条件が増えるわけです。
最近は、これに4つめの条件として「時間」-3つの条件がそろっている時間の長さを加え、「むし歯になる4条件」とされています(右下の図)。
むし歯になる4条件
というわけで、この4つの条件がそろったときには、あなたの歯も簡単にむし歯になります。
でも、逆に言えば、3つなり、4つの条件がそろわないようにしていれば、むし歯にはならないということです。
つまり、ふだんの生活で、「カイスの輪」ができないようにする、それが無理なら、できるだけ輪が小さくなるようにすることが、「むし歯ストップ」につながるのです。このこと、しっかり覚えておいてください。